柿を育てる一年間
● 〜柿之屋園主より〜
柿之屋の柿の減農薬栽培の実績は、もう10年位なります。
そもそも、 農薬を柿に散布しなくてはならないという私達は、
大丈夫なのだろうかと疑問を抱きました。カッパ、マスク、ゴム手袋、メガネ着用ですから。
きれいな大きな柿を作る為には、仕方がない事と、割り切っていましたが、
安易に農薬、化学肥料を使用する事は、やはり、抵抗がありました。
できるだけ、農薬や化学肥料に頼らない柿の生産をと思い、長年、苦戦苦闘の日々です。
有機JASがとれないかと思い、 農薬の使用を意識にする様になり、
柿の病気、害虫を防ぐ方法が、未だ見つからず、 実現はできていませんが、
福岡県の福岡県減農薬減化学肥料栽培の認証に関しましては、
認証を受けて、3年の実績があります。使用農薬は、福岡県の栽培基準の半分以下。
これは、福岡県でも、例のない柿農家でしょう。
● 農薬と化学肥料について
農薬・化学肥料は、大変便利な物です。農薬に関しましては、植物を覆い病気から守る農薬や
今では、 植物に浸透してくれる物が開発され、病気に大変効果の高い農薬があります。
私が勉強した資料には、植物を覆い病気から守る事は、確かなのですが、
それゆえ、 植物への光を遮り、光合成を妨げるとの事です。
化学肥料は、過剰な栄養分になりかねません。植物を育てる土の自然の働きを壊しかねません。
本来、植物は、自ら栄養を作り、成長する事のできる物なのです。
辿り着いた生産方法として、農薬の使用をできる限り減らす事で、
当農園の 柿の樹の光合成は、これまでになく、活発に行われているでしょう。
化学肥料を抑える事で柿を育てる土は、土着菌・小動物の活動が活発化していると思います。
農薬・化学肥料を充分に使用した、外観のきれいな大きな柿の実は、
一般の柿農園の様には、実らないかもしれませんが、
柿本来の力の満ちた旨味とコク、深い甘みの柿の実を実らせてくれていると思います。
■
冬の時期に剪定作業から。
柿の樹の鋏、鋸を使って枝等を切る作業です。
柿の樹は、なにもしないと上へ上へと伸びていき、どんどん大きく広がっていきます。
収穫などの作業の省力化をするために、樹高を低く作業しやすい柿の樹に仕立てます。
また、枝の量を制限し、風通しのいい樹を作り、病気・害虫の予防をします。
約千本近くある柿の樹を1本づつ、通気性、作業性を考えて手作業で切っていきます。
■ 春になり柿の芽がふけば。
摘蕾(てきらい)、摘果(てっか)という柿の蕾、実を摘んで
1本の柿の樹になる実の量を制限する作業です。
柿は、1年間に実のなる量が多いと樹が疲れてしまって、
次年花がつかなく、実がならない事があります。
隔年結果といいますが、これを防ぐために1年間に柿の樹1本になる実の量を制限します。
また、実の量を制限する事によって果実の肥大を促します。
摘蕾(てきらい)、摘果(てっか)の作業をしながら、混雑した枝・芽をかぎ、通気性を考え、
病気・害虫の予防をします。
これもまた、手作業で春先から夏の終わりまでの半年近くかけて、柿山を2〜3回まわります。
■ 草との戦い
どんどん伸びていく草を刈る作業が一苦労。
草は、切っても切っても伸びるので、柿の作業に影響すれば、草刈りをするという事を
1年間繰り返しています。それでも、年に3、4回草刈をしないと柿山の草は、
腰の高さぐらい伸びてしまいます。
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